建築物の部分について
建築物の部分とは法文の中に度々出てきますが、建築物全体を指さず、その一部分を指すと思われ、1の建築物の中での話になると考えて良いかと思います。
例えば複数ある内の居室のうち1室も建築物の部分であり、主要構造部でない庇や雨樋なども当然ながら、建築物の部分であります。
また、建築物の部分とは当然ながら可動することもありえて、開口部の硝子も該当し、(外開きで)開けた時に建築物の部分として法令上の制限をうけます。(斜線制限や道路突出してはいけないことになります。)
建築物と建築物の一部と法令上わけたことは、法令解釈上有意義であると考えます。
最低敷地の制限について
本業が忙しすぎて、全くブログ発信できずに申し訳ありません…今回は敷地の最低限度について触れたいとおもいます。
建築基準法第53条の2において、「建築物の敷地面積の最低限度が定められたときは、当該最低限度以上でなければならない」と定められています。
市街地の宅地の細分化を阻止して、敷地内にまとまった空地を確保して建築物の日照、採光、通風などの市街地環境を確保したり、敷地の間口や奥行きなどの距離を確保することにより建築物の形態を整形なものに誘導することを目的としています。
平成4年に制定されて以来、低層住居専用地域に限定されていましたが、平成14年の法改正で全ての用途地域で定めることができるとされました。
2項において「この規定を定めるときは、200平方メートルを超えてはならない」とあり、あまり大きな規模の制限をかけても守ることが困難になることから制限値の上限も定めてます。
そして、3項で既存不適格を認めてます。
「敷地面積の最低限度が定められ、又は変更された際、現に建築物の敷地として使用されている土地で同項の規定に適合しないもの又は現に存する所有権その他の権利に基づいて建築物の敷地として使用するならば同項の規定に適合しないこととなる土地について、その全部を一の敷地として使用する場合においては、同項の規定は、適用しない」とあります。
簡単に言うと、「最低敷地の制限がかかった時に、その制限に適合しない小さい敷地を建築物の敷地として使っていたり、同様に建物がない小さな敷地(更地)である場合(ちゃんと筆として別れていること)において、その敷地を減らすことなく、そのままの大きさであれば、この最低敷地の制限の大きさがなくても、建築することを認めます」というものです。
そのままの大きさとは、すなわち減らさないということを指しておりますが、敷地を買い増して敷地が増える場合は安全側なので認めているのが実情だと思います。但し、トータルの大きさは変わらない、または、微増だけど、「一部で増やしつつ一部を減らす」のは認めていないと思われます。
「この緩和も万能ではありません…この緩和が使えない場合」、「とくに難易度が高いとされる筆が別れていない借地の場合で再建築するには」、「これから最低敷地の制限がかかる場合に何をすべきか」等を「その2」で詳しく説明します^ ^
竪穴区画の必要性について その2
対象は主要構造部を準耐火等にしたものになります。したがって、ロ準耐は対象とはなりません。
これは、構造上、竪穴区画ができないため、免除されているのであって、竪穴区画をしなくても安全というわけではありません。階段室は避難施設といわれる避難経路のなかでも廊下と合わせて非常に重要な部分となります。火煙を階段室にいれないという点で、竪穴区画を形成したいですよね。
竪穴区画の補足ですが、12項と13項のメニューが追加されてます。
12項では、3階を病院、収容施設あり診療所、入所系児童福祉施設等の用途に使っていて、建物ボリュームが3階建で延面積が200未満であれば、間仕切り壁と防火設備で区画することが定められてます。更に居室等にスプリンクラーがあれば、防火設備(法2条9号のニロ)でなく10分間防火設備を選択することも可能です。
13項では、3階を法別表第一(い)欄(二)項に掲げる用途に使っていて(12項の用途を除く)、間仕切壁又は戸(ふすま、障子その他これらに類するものを除く。)で区画することが定められます。
最後に
火災などの災害時には、原則としてエレベーターは使えません。ほぼ階段を使って避難階または地上へと降りて行きます。(避難だまりとなりうる屋上広場があれば屋上に逃げて救助を待つというのもあるかもしれませんが…)
火災の煙は想像以上に視界を奪いますし、一酸化炭素は体の自由を奪います。人は命の危機が迫ると気が動転して正常な判断なんて取れない可能性が高くなります、煙が充満した真っ暗闇のなかで階段に向かって走れますか?床には障害物があるかもしれません、先にある誘導灯を認識できるとは限りません。そして、全ての建築物に排煙設備が付いているわけではありませんし、避難経路を守るのが竪穴区画なのです、安易に緩和を考えずにしっかりとした区画を設けて頂きたいと思います。
令112条は、度々改正があり、この記事は、令和3年末に書かれたものです、今後の改正により変わる可能性があります。
発散方式を行うときのリスクについて
日影規制(ひかげ)において、閉鎖方式と発散方式がありますが、発散方式を認めてますか?といった質問をよく受けます。
平成26年のさいたま地裁の「発散方式に基づく建築確認を違法とする裁判例」を考えてのことと思います。答えとしては、
駄目ではないですが、裁判例があることは事実であるため、訴訟になったら負ける可能性があることを考えた上で選択して下さいと
お話してます。
日影規制の施行当初から、解説書にも掲載されており、一般的に使われてきた手法でしたが、この裁判例が一石を投じた形となりました。
その後、私の知る限りでは、発散方式について争われたものはないと思いますが、もしご存知であればご一報頂けると幸いです。
Twitterから転用編です😅
内容をリメイクしております。
持分を共有する土地を建築敷地に含める時の注意事項とは
建築敷地には、所有権を有している場合もあれば、借地して建築することもあります。(親族間なら無償使用もあるかも知れません)その他にも、複数人で共有持分として所有する場合もあります。
過去の相談事例により路地状敷地の路地部分の筆のみ共有になっている場合が数件見受けられました。
この手の相談が窓口であった際には、極力取得を目指した方が良いと説明します。
また、それが無理でも他の共有持分の所有者に対して、「建築敷地として使用する、当該共有地は他の建築敷地と重複できない」等きちんと説明しておくのは当然のこと、対価を払って借地すべきとアドバイスをします。
もっとも恐れるのが、他の共有持分の所有者から分割請求がなされ、裁判所に持ちこまれた結果、敷地分割(共有持分割合に応じて敷地を分ける)することになり、最悪2メートルの接道がとれず接道義務違反となる場合があります。
巷の広告でも「共有持分だけでも権利買います」といったものを目にします。
そうなってからでは、共有持分の残りを買い取るのは困難になってきます。
実際に、このような事案で大揉めしているケースは多くの労力を費やします。
屋外階段は主要構造部か?
度々、「屋外階段」は主要構造部なのか否かが議論となりますが、用語の定義上は「除く」の部類に入っています。
ではなぜ議論に上がるかというと、主要構造部とは「防火的な面からみて主要な部分」とされており、昇降の手段が屋外階段のみで内部に階段がない場合については、屋外階段であっても主要構造部として扱うべきだと思ってます。
主要構造部でないと言って30分の性能を持たせないのは危険です。
屋上等の点検用のメンテナンス階段の類であって、通常時の避難経路とならないような屋外階段については、主要構造部として扱わなくても差し支えはないと思われます。また、メンテナンス時のみに使用される階段については、一般的に特殊の用途に専用する階段として令第27条において階段の規定が除かれています。
尚、エレベーターは非常時に作動するとは限らないため、階段や廊下等の「避難施設」とは扱われません。
4号建物以外について屋外階段の大規模修繕や模様替をやる場合には、ご注意下さい。