ぺこりの建築基準法に関するブログ

特定行政庁職員による建築基準法などに関するブログです

柱や基礎を残してのリノベーションは有りか無しか?

 接道その他事情により再建築が不可能だったり、金銭的に建て替えが困難な場合に柱や梁などの骨組みを残し、既存の基礎を使ってフルリノベーションを行う話をたまに聞きます。(4号木造住宅を想定してのお話です)

 骨組み状態をスケルトン状態と言いますが、その状態の時に新たな筋交や金物をつけたり、柱等が痛んでいたら交換や直ぐ隣に抱かせたり(既存に接して設ける)して補強する。また、外壁や屋根も合わせて改修して一気に性能を向上させたりします。

 さらにはキッチン、浴室、化粧台などの水廻りも合わせて交換となれば、建物を飛躍的に良くできる手法です。

 ここで重要なことがあります。前述のリノベーションは、柱や梁、外壁といった主要構造部といわれる部位を造り替えることから、一般的に修繕や模様替えと呼ばれております。

 仮にその修繕する範囲が大規模(過半となる)となっても確認申請は不要です。しかしながら、リノベーションを行う建物に既存不適格がある場合、「不遡及の原則」の解除とされる建築基準法3条3項3号により既存不適格の解除がなされた結果、違反建築物となり、不動産としての価値が下がることがあり得るということを知っておいた方がよいと思います。※無接道や建物の高さががっつり当たっている場合などの是正は容易ではありません。

 尚、概ね同規模で同様の材料で造り直す場合は、改築として扱われることがあります、その場合は建築行為に該当するため確認申請が必要となります。

 20年12月1日一部加筆