ぺこりの建築基準法に関するブログ

特定行政庁職員による建築基準法などに関するブログです

竪穴区画の必要性について その1

 施行令第112条第11項〜15項に竪穴区画の規定が定められてます。

 竪穴区画が必要となる建築物は、地階や3階以上の階に居室を有する建築物、主要構造部に耐火性能を有する建築物です。(イ準耐火、耐火建築物を指します。)

 火災などの災害時に避難階(地上)に避難する上で安全性を確保する必要があるものが対象となります、直通階段(地上までひと続きになっているもの)の設置等と合わせることでより安全に避難できることを目的としています。よって地上2階建程度の建築物には求められていません。

 とはいえ地階に居室があれば、地下1階、地上1階の階数2の建築物でも必要となります。(一定の条件下で緩和はあります。)

 竪穴区画は、具体的には階段や吹抜部分など縦方向に空間を有する部分について、その他の部分とを区画することとなってます。

 階段以外にもパイプスペースであったり、メゾネット形式の住戸も全体を竪穴として考えます。

 区画の目的は、縦方向の炎と煙の拡散防止です。

 例えば、地上3階建の建物を例に取ると、2階で火災が発していても階段との竪穴区画がしっかりされていれば、2階の火煙が階段室に入り込む前に上の階の人が避難階にむかって階段を降りることができます。

 

 その2(緩和要件など)に続く

特殊建築物とは何?その1(どう分類されてる?)

 特殊建築物とは、建築基準法第2条第2号の中で定義されてます。そして規模や平面計画によって同法27条に基づき一定の耐火性能が求められています。

 法別表第一の中で(1)から(6)項に分類されており、類する施設として施行令第115条の3条により列挙されています。

 読んで字の如し、特殊な建築物を指しますが、(1)項は、劇場や集会場などの不特定多数が使う用途であることから避難上の問題が大きい用途。他にも演芸場や観覧場等があります。

(2)項は、共同住宅児童福祉施設、旅館等といった居住や入所、宿泊する上で就寝の用途に使われるために、災害発生の覚知が遅れ避難上問題の生じやすい用途。

(3)項は、学校といった利用についての管理体制がしっかりたてられており、多数の利用に供されても比較的防災上の問題が少ない用途。他にも図書館や美術館、スポーツ練習場等があります。

(4)項は百貨店やマーケット、飲食店等商業系の用途で、一般に商業活動の場に直接顧客を導入するため防災対策が重要視される用途。パチンコ店等の遊戯場も含まれます。

(5)項は、倉庫といった比較的火災荷重※の大きな用途。今現在、類する施設は未制定です。

(6)項は、車庫や自動車修理工場といった非常に多くの火災荷重を収容する用途で、防災上の配慮が重視される用途。映画やテレビスタジオ等が含まれます。

 ※火災荷重とは俗にいう「燃え種(もえぐさ)の量」のことです

以上のように特殊建築物は耐火性能が求められる上で別表の中で6項目に分類されてます。

 特殊建築物とは何?その2(掘り下げ編)に続く

建築基準関係規定の適合性チェックについて

一般的には、建築物の種類、規模に応じた建築士が法適合チェックを行いますが、世の中調べていくと、それを生業とされている専門の会社があるそうです。

 また、検済なしガイドラインに基づく調査といって民間の指定確認検査機関が国交省ガイドラインに則って調査を行う業務もあります。

 どちらも、地盤面下の杭や壁の中の防火被覆や鉄筋の納まりなどは、どうしても限界があり、わかる範囲の調査という括りになってしまうのですが、やむを得ないことだと思います。

 規模が大きくなる場合であったり、区分所有であると全数調査が困難になることもしばしば、調査者の責任問題とのバランスも考慮しつつ、確認済証や検査済証のない(取得していない)建物の増改築を行う場合には、検討されては如何でしょうか?

 必ずしも推奨しているわけではなく、特に一体増改築の際には、既存の適法性が求められることがありますので。

意外とある違反建築に対する陳情について

 街で悪さをすると、一般的にお巡りさんのお世話になりますが、自己が所有してたり、賃借している建物に手を入れ(改築等)、建物が建築基準法等の法律に対して違反状態になってしまった場合、まずは特定行政庁である役所から指導を受ける可能性があります。

 行政は、日々の現場パトロールや近隣からの陳情を受けた場合に違反の有無の確認をするために現地に赴きます。

 指導の有無は100%ではありませんが、悪質な場合は、行政指導からの行政代執行、違反の罰則のために告発するなどの行政処分があります。

 ここで気をつけたいのが、違反となることに気づかずに手を入れてしまった場合です。当然ながら、知らずであっても違反という事実は残ります。

 確認申請を行わなければならなかったにも関わらず、確認申請をせずに工事した場合は、手続き違反となります。場合によっては、無届けの工事に対して、工事の中止を求めることもあります。

 違反の発覚について先にも述べましたが、近隣からの陳情があります。「どこどこの家は違反じゃないか!!」といった類のものです。

 どのようなタイミングで陳情がくるかというと、いきなり工事が始まったが、「確認申請を取得しましたよ」というお知らせ看板が出ていない時に、陳述が来ることが多いと思います。(比較的匿名が多いです)

 確認申請がとられていると建築計画概要書を取得して、わかる範囲でそれ通りの工事かどうかをチェックする建築に精通されている方もおられます。

 いずれにせよ、みなさん自分の住環境に影響がでないかシビアな目線でみておられます。陳情があろうとなかろうと、適切な手順を経て工事をしてますよ!!と胸を張っていえるように、真っ当な手順で工事をするのが大切です。(当たり前ですが…)

 そして聞いてみると受忍限度を超えないようなレベルの話も当然ありますが…

路地状敷地(旗竿敷地)はなぜ安くなるのか

 旗のような形状であり、竿の部分の奥が広がっている形状の(不整形な)敷地を一般的に指します。

 正方形や長方形などの整形地と比べて、価格が安くなりますが、竿の部分を駐車場にしたり、活用の仕方によっては、有効利用も可能だと思います。

 竿の幅が4メートル未満の場合、3階以上の階数があると、いっきに制約がでてきたり、特殊建築物(後日詳しく書く予定です)が建てられなかったりと、デメリットも含めて価値が低くなりがちなのかもしれません。

 一般的には最低接道長さが2メートルであることから竿の部分が2メールの敷地が大半です。小規模なもの以外は1.5メートル(小規模は90センチ)の空地となる敷地内通路が必要となることから、竿部分を車庫として使えない可能性もあります。車庫証明担当の警察の方は役所で調べる事もあります。

 制約として他にも、建築基準法40条に基づく条例などで制限の付加がされているケースが多いです。

 奥の旗の部分と比べ竿の部分が狭まっている(間口が狭い)ことから避難上において整形地と比べて有利とは言えません。例えば、旗の部分にある建物から多くの人が道路に向かって避難する場合に、竿部分が狭いことで、人の滞留が発生し、時間がかかることが想定されます。砂時計の砂はくびれ部分によりゆっくり落ちます。

 また、整形地や複数の道路が接する敷地と比べ、火災時に消化活動がしづらいこともあります。更には旗の部分が道路から見通しづらくなることから防犯上も不利になることもあります。(泥棒が隠れる死角が発生しやすい)

 そう言った複数のデメリットがあることを踏まえて購入する場合の選択肢としてもらえればと思います。

柱や基礎を残してのリノベーションは有りか無しか?

 接道その他事情により再建築が不可能だったり、金銭的に建て替えが困難な場合に柱や梁などの骨組みを残し、既存の基礎を使ってフルリノベーションを行う話をたまに聞きます。(4号木造住宅を想定してのお話です)

 骨組み状態をスケルトン状態と言いますが、その状態の時に新たな筋交や金物をつけたり、柱等が痛んでいたら交換や直ぐ隣に抱かせたり(既存に接して設ける)して補強する。また、外壁や屋根も合わせて改修して一気に性能を向上させたりします。

 さらにはキッチン、浴室、化粧台などの水廻りも合わせて交換となれば、建物を飛躍的に良くできる手法です。

 ここで重要なことがあります。前述のリノベーションは、柱や梁、外壁といった主要構造部といわれる部位を造り替えることから、一般的に修繕や模様替えと呼ばれております。

 仮にその修繕する範囲が大規模(過半となる)となっても確認申請は不要です。しかしながら、リノベーションを行う建物に既存不適格がある場合、「不遡及の原則」の解除とされる建築基準法3条3項3号により既存不適格の解除がなされた結果、違反建築物となり、不動産としての価値が下がることがあり得るということを知っておいた方がよいと思います。※無接道や建物の高さががっつり当たっている場合などの是正は容易ではありません。

 尚、概ね同規模で同様の材料で造り直す場合は、改築として扱われることがあります、その場合は建築行為に該当するため確認申請が必要となります。

 20年12月1日一部加筆

サービスルームと納戸と小屋裏物置

 全てにおいて共通することは、非居室であること。よくマンションの広告とかにサービスルームと言った類の表記がありますが、寝室などの居室に使うことはできません。

 戸建住宅の納戸もしかり、テレビによく出てくるロフトに布団を敷いて寝床としているなど…違反してますと言っているようなもの。

 居室として使えない原因のほとんどが採光がたらないことによるものと思われます。

 採光は、「各居室の必要面積」と「隣地境界線などまでの距離と建物上部からの垂直距離などにより算出した係数と実際の窓の面積に乗じて出した窓面積」と比較検討します。一般に隣地境界線までの距離が狭いケースで最下階である1階部分が厳しくなります。

 意外と知られていないのが、サッシの桟(方立や框)は、アルミや樹脂の場合がほとんどで、サッシ面積には入れられないので、注意を要します。